ロシア・プレミアリーグの移籍市場

先日、ブンデスリーガ・ニュルンベルグの清武選手にロシア・プレミアリーグのロコモティフ・モスクワが獲得の興味を示したとの記事が出ました。ロコモティフ・モスクワはロシアきっての強豪クラブですが、ここ数年は低迷し今季は前クロアチア代表監督のスラベン・ビリッチを争奪戦の末に獲得し覇権奪回を目指しています。ところが前半戦を終えて順位は8位と出遅れており、冬に移籍市場での動向にも注目が集まっています。目下、補強が決まったのはディフェンスのみですがクリエィティブな中盤の補強が望まれており、清武選手の名前が挙がったということでしょう。実際にブンデスで評価の高い清武選手がロシアに移籍する事はないでしょうが、ヨーロッパでのロシア・プレミア・リーグへの評価は変わってきています。

スパレッティ(ゼニト)とビリッチ(ロコモティフ・モスクワ)
スパレッティ(ゼニト)とビリッチ(ロコモティフ・モスクワ)


数年前まではロシアは南米やアフリカ、また東欧の選手のヨーロッパへの移籍へのステップアップの場所として捉えられていた感がありました。やはり大きな理由としてはCL・現ELへの出場でしょう。実際マンチェスター・Uのヴィディッチ(スパルタク・モスクワ~)、チェルシーのイヴァノビッチ(ロコモティフ・モスクワ~)はロシア・リーグでの活躍が認められてビッククラブに獲得されました。しかしここ最近の傾向としては、西ヨーロッパからのクラブからの移籍が増えているという事です。今季ではブラジル代表のフッキ選手(ポルト~)の移籍が話題になりましたが、スゥエーデン代表のシェルストレーム(リヨン~)、イタリア代表のクリシート(ジェノア~)等のビックネームや有望な若手だけでなく、即戦力の選手のロシアへの移籍が増加しています。やはり要因としては経済力ではありますが、ロシア・リーグのブランド自体も上がって来ているという事です。そこにはビリッチやスパレッティ、ヒディング等の監督が指揮をとっているという事も選手の獲得に影響を与えているでしょう。つまりロシアがヨーロッパの中で有力な市場になりつつある中で、清武選手に注目が集まったというのは、それだけ日本人選手の価値が高まっているという事でもあります。私自身もロコモティフ・モスクワの関係者に日本人選手について質問を受けました。勿論、本田選手の活躍の影響が大きいですがロンドン・オリンピックでの日本の活躍のインパクトも大きな要因です。  

 

しかし今季のゼニトのように計60億円をかけて補強を行ったにも関わらず、むしろチーム力が低下しているという事実もあります。ゼニトの場合にはチームでの内紛等もありましたが、やはり既にヨーロッパで名を馳せた選手がロシアに馴染むのはなかなか容易ではありません。モスクワやサンクト・ペテルブルグのような大都市での生活では全く不便はないですが、 芝の問題、移動距離の長さ、ロシア人選手・スタッフとのコミニケーション、過激サポーターによる圧力等。中でもやはり自分の言葉で話すというのは重要です。ロシア人はイメージと違い、コミュニケーションを大切にします。どこの国でもそうですが、やはりその国の言葉を自分の言葉で話すというのはとても重要な事で(特に自国選手の多い地方のクラブになればなる程)、逆に言えばサッカーの姿勢のみでチームの中心となった本田選手のプロ意識は特筆すべきものがあります。

 

現在CISリーグの創設案(ロシアのトップクラブにウクライナ・ベラルーシ等の旧ソ連の有力クラブで形成)が出ていますが、現実的には不可能な話でしょう。ただ今後のロシアの国策としてサッカーの占める位置は決して低くなく、現在のロシア・プレミアリーグの編成は行われる可能性はあります。その場合はヨーロッパの勢力図も変わっていく可能性は小さくないでしょう。